言葉って、何気に重要なんです。

    言葉はアイデンティティーだと申します。私もカナダに来てそう思います。この国の公用語は英語と仏語ですね、公文書には英仏両国語で内容が示されて、カナダ政府主催のレセプションへ行けば政府高官が両国語で同じスピーチをします。
    モントリオールに住んでみると仏語の重要性が痛い位に分かるのですが、ここバンクーバーに滞在していると半分アジアに帰って来たような雰囲気で、とても仏語のふの字も言える状況にはないのです。

    私がモントリオールからバンクーバーへ到着した当日、到着直後のバンクーバー国際空港でセブンイレブンを発見した私は、ミネラルウォーターを買いに入ってみたんですね。アジア系と思える店長さんがレジ打ちをしていて、私はミネラルウォーターを手にとって店長さんにBonjour!って挨拶したのです。

    モントリオールの感覚なら、ケベック感覚なら至って正常でしょう。すると今まで自信に満ち溢れていた店長さん、私の一言を聞いて一気に挙動不審モードに。ボ、ボンジュール!裸の大将じゃあるまいし。「一体お前は何人なのか?」という不安げな目をしています。ペットボトルにバーコードを当ててレジに表示された料金を指差すのです。私が英語を喋れないと思ったのでしょう、英語でその金額を言ってあげると「Yes,Yes!」と安心した顔つきに。

    英仏両国語を公用語とする国是を掲げておきながら、仏語が喋れないカナダ人は非常に多い。モントリオールから車で2時間走った首都オタワですら、仏語の通用度は怪しい。

    でもそんなカナダ人ですが、全体の6割から7割は仏語を話せるようになりたい!と思っているというアンケート結果も出ているそうです。気炎を上げるケベック独立派を説得し、英語と同じ地位を仏語に与えたのは今は亡きトリュドー首相でした。英語と同じ立場を仏語に与えたとするのなら、「カナダ人総バイリンガル計画」でも打ち出してくれたら良かったのに・・・ケベックの自主性も大事でしょうが、全てのカナダ人がバイリンガルになったその日が「本当のカナダの日の出」なのかもしれません。

    バンクーバーでは仏語は一切通じません、じゃあ、仏語はカナダ人のものじゃないのか!という疑問に突き当たります。勿論、仏語も同じようにカナダ人にとっての大事な言葉です。自分のレゾンデートル(存在証明)そのものなのです。バイリンガルである人間はコミュニケーションを図る上で圧倒的に優位な立場になります。自分が自分で或る事を表現するには、言葉に巧みな人間であった方が良いと思うのです。

    でも言葉っていうのは元から学習が好きか、必要に迫られてじゃないと上達はしません。新しくオーストラリア首相に就任したケビン・ラッド氏ですが流暢な北京語を話します。一方の我等がカナダ首相のステファン・ハーパー氏も仏語を話しますが、ケベッコワの評価は手厳しいものです。(野党党首のステファン・ディオン氏はケベッコワですが)前者は好きで学習した派、後者は必要に迫られて派ですが、一つの言語しか知らない人間よりかは自己表現のチャンスが広がるので良いのでは・・・と勝手に私はそう思っています。

    やっぱり言語はアイデンティティーなのです。皆さんはどう思われますか??

    About the Author

    夢屋

    1978(昭和53)年、福岡市生まれ。明治学院大学文学部仏文学科卒。 韓国の海運会社の東京支店に勤めるものの、うつ病を発症して実家がある福岡で療養。韓国の会社にて韓国に関するコラムを連載、韓流に嵌った御婦人方から圧倒的な支持と評価を得る。うつ病治療の一環として海外生活を決断、明治学院の卒業論文でケベックを取り上げたのが縁で去年11月よりモントリオール在住。「本当に住む事になるとは・・」とは本人の弁。博多ラーメンと焼酎とサルサをこよなく愛する九州男児。

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