フランソワに逢いに〜マドレーヌ島

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Photo: みちょろ

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もう、10年以上も前の話だ。
セント・ローレンス湾に浮かぶ総面積200平方キロメートルほどの小さな島、マドレーヌ島の管制塔で働いていた友人のフランソワに逢いに行った。彼自身は、その後、イヌイットの村クジョワックで3年ほど働いた後、今はモントリオールの空港勤務となったが、私はマドレーヌ島で過ごした短い夏のひとときを今でもそっと取り出すことがある。

マドレーヌ島は、北極から流れ着いた流氷が安定する場所で、ハープシール(タテゴトアザラシ)の繁殖地としても知られている。毎年2月下旬から3月中旬までには25万頭ものアザラシたちが繁殖のために訪れる。マドレーヌ島では、セント・ローレンス湾に浮かぶ流氷の上で出産から子育てをおこなう約2週間にわたって、ハープシールを見に行くウオッチングツアーが催行され、日本からこの時期にやってくるファンも多いらしい。

Photo: Michoro

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もちろん、私が訪れたのはそれとは違い、この島が一番生き生きとしている夏の時期。島をぐるりと囲んだ300kmにも及ぶ海岸線や、どこまでも続く青い空と海、野生の花が無造作に咲き乱れ、カラフルな家壁が夏の光に映える。そんな風景をただぼんやり眺めて過ごす時間は、昔、真っ黒になりながら、日が暮れるまで遊んだ夏の記憶を呼び戻すには充分過ぎる時間だった。

一日の終わりにフランソワが用意してくれた夕食は、港で買った魚介類の寄せ集めを使ったフランソワ流ブイヤベースとワイン。食後には、虫の声と海鳴りを聞きながら夜道の散歩を楽しんだ。

この、島で過ごした短い夏の思い出が、日頃、業と欲にまみれて自分を否定しそうになる私を、時折そっと包んでくれる。人にとって、思い出って、生きて行くために必要な優しさを持ったメッセージなんじゃないかなと、この頃、ふと思う。

About the Author

みちょろ

モントリオールに根を下ろしてから早14年。某観光会社のガイドをしながらも、日系新聞の記者やコミュニティ誌に記事を投稿しています。モントリオール、ケベックが大好きな私が、特選した場所を紹介します。

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